So-net無料ブログ作成
検索選択

『豊田通商社長が語る「普通の会社のITの話」』 について考えてみた [システム開発]

 ITメディアの記事にあった『豊田通商社長が語る「普通の会社のITの話」』について、エンジニアとして勝手に記事の内容を考察してみたくなったので記録する。先に断わっておくと、私は豊田通商を含む商社のシステムを知らないし、考えながら書いた記事なのでまとまりがない。

 まず、トヨタ自動車から2001年に移籍した清水社長は、2001年の移籍当時のITシステムの状況を以下のように語っている。
「悲惨なレベルのIT」
「2000年に独自会計システムの導入を目指したが失敗」
「他社の10年は遅れている」
 とまぁ、悲惨な状況に見えたそうだ。また、清水氏は2001年当時のシステムの失敗をこう分析している。
 独自システム開発では、「(ユーザー部門の)要望を聞き入れすぎてプロジェクト管理が機能せず、最後に品質が確保できなくなった」

そこで実施したのが以下の内容。
「情報システム部では限界があると判断しIT推進部を発足」
「会計システムにはSAPを導入」
「5年で150億のIT投資を決断」
「トヨタグループの自動車関連部品のグローバルSCMを展開」
 上記のことを実施して「ITを強みとして強化した」とまでは書いていないが、「そう読み取って」という感じの記事である。

 上記の内容だけをインプット(前提)として2001年当時に何が問題だったのかを勝手に推測してみることにする。※ことわっておくが、以下は清水社長の短い発言を基にした記事をインプットとして得られる内容を考察しただけで、当時の豊田通商のシステムおよび関係者がそうであったということではない。

・除外要因
 まず失敗の要因として関係なさそうなものを除外すると「トヨタグループの自動車関連部品のグローバルSCMを展開」は除外となる。売れるサービスをつくってロイヤリティが入ってきたのは成功要因ではあると思うが過去の失敗とはあまり関係がない。

・普通の会社の情報システム部
 次に、発言内容を考える前に「普通の会社のシステム部」を考えてみる。元来システムというものは目的を達成するために存在するものだが、その為には人間の言葉を理解しない機械に対して、機械の言葉であれこれと指図する必要があり、大きなシステムを作る場合は機械と会話できる稀なスキルを持つ人を多く集めないと出来ない為、そういう人を集めたり育てたりするのが「普通の会社のシステム部」だ。
 こういう意図で集められた人員は機械と話をすることが得意な人間は多くてもそれ以外のスキルを求めても難しいのは容易に想像がつく。わかりやすい例でいいかえると、海外の人とコミュニケーションをとる為につくられた翻訳部に、戦略的な仕事や翻訳という仕事と関係はしていても門外漢のこと(例えば洋書の小説を作れとか)を求めるには普通無理があるのだ。

・発言について考えてみる
「(ユーザー部門の)要望を聞き入れすぎてプロジェクト管理が機能せず、最後に品質が確保できなくなった」

 これは当時の会計システムの失敗の理由だが、会計システムというのは多くの部署と人がかかわるシステムで、ユーザー部門はそれぞれ自分達があるとよいと思う機能をどんどん要求してくる。システム部は限られた予算や人員の中で会社を上から俯瞰する立場でもないにもかかわらず、どの部門の要求は受け入れてどの部門の要求ははねのけるという選択をしなければならない。
 そういった判断はおおむね会社に必要な機能を優先というよりは、声の大きな部門(人)の要求をのみがちになり、声の大きな人ばかりだと多くの機能要求を受け入れざるを得ない状況となり、機能が肥大化するのである。  システム部としては機能が肥大化すればするほど、設計が複雑になり多くの要員や予算が必要になるのだが、通常予算はプロジェクト発足時に決められており予算の増額は容易なことではない。

ここで「XPエクストリーム・プログラミング入門」のケント・ベックの言葉を紹介
第4章 4つの変数より
コスト、時間、品質、スコープ
このモデルでのソフトウェア開発ゲームのやり方は外部の力(ユーザ(顧客))、管理者が3つの変数の値を決める。開発チームは残った番目の変数の値を決めることになる。

 これにならって、犠牲となったのが品質だったのだろう。ユーザ部門の権力が強い場合は陥りがちな問題である。

・解決への道
 これに対して「情報システム部では限界があると判断しIT推進部を発足」で、「普通の会社のシステム部」の問題を克服し、ユーザ部門との交渉に負けない『人』を配置する。
 次に「会計システムにはSAPを導入」で『モノ』を配置。これによって会計システムの構築スピードをあげることが可能になったのだろう。ちなみに上場企業の会計システムはどこでも似ているようで実は結構大変なカスタマイズが必要だ、過去の決算と齟齬がないように会計基準を合わせる必要があるし自社の強みとなる業務システムとの連携も必要だ。
 最後に「5年で150億のIT投資を決断」で『金』と『時間』を設定して、少々のオーバーな要望であろうが品質を確保するのに足るものをそろえて解決に至ると読んでみた。
 結果を出した経営者の話を真に受けて参考にするかどうかは置いておいても、元記事にも書いてあるように失敗した話を参考にするのは為になるように思える。


XPエクストリーム・プログラミング入門―変化を受け入れる

XPエクストリーム・プログラミング入門―変化を受け入れる

  • 作者: ケント ベック
  • 出版社/メーカー: ピアソンエデュケーション
  • 発売日: 2005/12
  • メディア: 単行本


Simple is best.
--
butineko

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントの受付は締め切りました

トラックバック 0

この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。
メッセージを送る
RSS RSS

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。